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重加算税


1 重加算税とは
       納付すべき税額の計算の基礎となる事実の全部または一部に隠ぺいまたは仮装があり、過少申告・無申告または不納付がその隠ぺいまたは仮装に基づいている場合には、過少申告加算税・無申告加算税または不納付加算税の代わりに、重加算税と呼ばれる特別に重い負担が課され、徴収されることとなります。
 その額は、過少申告税または不納付加算税の代わりに課される場合にはその計算の基礎となる税額の35%、無申告加算税の代わりに課される場合にはその計算の基礎となる税額の40%となっています。
 重加算税の対象となる「隠ぺい」とは売上除外、証拠書類の廃棄等、課税要件に該当する事実の全部または一部を隠すことをいい、仮装」とは架空仕入・架空契約書の作成・他人名義の利用等、存在しない課税要件事実が存在するように見せることをいいます。
 
      2 例外通達
 ただし、以下の場合は例外です(法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)平成12年7月3日)。
  税務署ないし国税局も、以下の例外規定を失念していたり、認識していても、あえて納税者に告げずに重加算税をちらつかせ、その他の事項で課税庁の有利な処分を行おうとすることがありますので注意が必要です。

  次に掲げる場合で、当該行為が相手方との通謀又は証ひょう書類等の破棄、隠匿若しくは改ざんによるもの等でないときは、帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない。
①売上げ等の収入の計上を繰り延べている場合において、その売上げ等の収入が翌事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、翌連結事業年度。②において同じ)の収益に計上されていることが確認されたとき。
②経費 (原価に算入される費用を含む)の繰上計上をしている場合 において、その経費がその翌事業年度に支出されたことが確認されたとき。
③棚卸資産の評価換えにより過小評価をしている場合。
④確定した決算の基礎となった帳簿に、交際費等又は寄附金のように損金算入について制限のある費用を単に他の費用科目に計上している場合。

 なお、所得税に関しても、ほぼ同様の通達があります(申告所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)平成12年7月3日)。

 
 3 経理担当者の隠ぺい・仮装で代表者が知らない場合
     この点、法人税の過少申告または無申告の事実が担当者の隠ぺい・仮装による場合で、会社代表者がそれら事実を知らない場合であっても重加算税が課せられるかどうか、という問題について、大阪高裁平成13年7月26日は、以下のように判示して、原則して重加算税を課すことができるとしています。

 「同条の趣旨は、加算税を課すべき過少申告行為が課税要件事実の隠ぺい・仮装という手段で行われた場合に、違反者に行政上の制裁として重加算税を賦課することにより、申告納税税度の適正円滑な運営を図ろうとする法技術上の制度であるから、納税者において仮装・隠ぺいした事実に基づき申告するという認識を要さず、結果として過少申告の事実があれば足りるものと解される。控訴人は、・・・(会社担当者)に重要な経理帳簿の作成等を任せきり、納税の際にも・・・(会社担当者)が作成した経理帳簿等に基づき作成された総勘定元帳や決算書類等で申告を行ったところ、これら経理帳簿等に虚偽の事実が存在したため、客観的にみて、控訴人が仮装・隠ぺいの事実に基づく申告をなしたことになったのであるから、重加算税の要件を満たしており、本件各重加算税賦課決定に違法はない。」
 

     

4 税理士による隠ぺい・仮装
 他方で、顧問税理士が納税者に無断で隠ぺい・仮装に基づく過少申告をし、納税者がそれを容易に認識・予想しえなかった場合には、重加算税は課されないとする判例があります。

 最高裁平成18年4月20日、「納税者が税理士に納税申告の手続を委任した場合についていえば、納税者において当該税理士が隠ぺい仮装行為を行うこと若しくは行ったことを認識し、又は容易に認識することができ、法定申告期限までにその是正や過少申告防止の措置を講ずることができたにもかかわらず、納税者においてこれを防止せず隠ぺい仮装行為が行われ、それに基づいて過少申告がなされたときは、当該隠ぺい仮装行為を納税者本人の行為と同視することができ、重加算税を賦課することができると解するのが相当である。他方、当該税理士の選任または監督につき納税者に何らかの落ち度があるというだけで、当然に当該税理士による隠ぺい仮装行為を納税者本人の行為と同視することができるとはいえない。」


「ケース別の問題点」目次

重加算税   過少申告加算税  ストックオプション課税  移転価格税制    役員の退職金課税 相続Q&A

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