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審査請求書の注意点

  異議申立を行い、異議決定を受けた場合で、原処分に不服がある場合には国税不服審判所長に対し審査請求を行うこととなります。
不服審査の対象となるのは、あくまでも原処分であり、異議決定そのものではありません。
イメージとしては、更正処分など原処分の妥当性を異なる機関で別途、判断するような感じです。
  


1 審査請求書の雛形

 審査請求書の用紙は、最寄りの税務署、国税不服審判所でも受け取ることもできますが、国税不服審判所のホームページでも、審査請求書の雛形、記載要領を入手することができます。なお、異議申立の場合と異なり、正副2通の提出が必要です。雛形はこちら

2「審査請求の趣旨」

 処分の取消等を求める範囲については、全部取消、一部取消、変更があります。全部取消とは、更正処分等の全部の取り消しを求める場合、一部取消とは、更正処分等の一部の金額についてのみ取り消しを求める場合をいいます。

1 全部取消を求める場合

 審査請求書の雛形「⑪審査請求の趣旨」欄の「1.」を○で囲んでください。
 この時、加算税の賦課決定処分に対する取消も同時に行うには、審査請求書の雛形「⑧処分名等」「税目等」「処分名」欄の該当箇所も忘れずに○で囲んでください。
 

2 一部取消を求める場合

   審査請求書の雛形「⑪審査請求の趣旨」欄の「2.」を○で囲むととも、「初葉記載の」に続けて、例えば、以下のように記載することが必要です。

 「平成○年分法人税の更正処分のうち所得金額○○円を超える部分に対応する税額に係る更正処分の取消し及びこれに伴う○○加算税賦課決定処分の取消しを求める。」

 この時、加算税の賦課決定処分に対する一部取消も同時に行うには、審査請求書の雛形「⑧処分名等」「税目等」「処分名」欄の該当箇所を○で囲むとともに、例えばそれが、過少申告加算税であれば、「・・・及びこれに伴う過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求める」との文言も忘れないようにしてください。
 

 

3「審査請求の理由」でのポイント

     国税不服審判所長は、異議申立の審理と異なり、通達に拘束されることなく、適正・妥当と認められる法令解釈に基づいて裁決することができることとされていますが、通達と異なる判断をする場合には、国税不服審判所長は、事前に国税庁長官に対して意見を申し出なければならず、全く何の制約もなしに行うことができるものではありません。

 
そうはいっても、異議申立の審理に比べれば、法令、通達等の解釈を争うことに意味はありますので、
法令、通達の適用対象となる事実関係を課税庁が誤認、または認識していないこと
これら正しい事実関係を前提にすれば、適用対象となる法令、通達の要件を満たすこと
または、別途、申立人が主張する法令、通達の要件を満たすことに加えて、
法令、通達等の解釈に関する主張

 についても「審査請求の理由」では詳細に記載されることをお勧めします。

 なお、異議申立の段階で主張していなかった事情であっても、更正処分など原処分の対象となった年分の課税標準または税額等に影響を及ぼす事項であれば、審査請求段階で新たに主張することができます。
  

  

4 事実関係の記載

   事実関係については、できる限り正確、詳細に記載することが必要です。「審査請求の理由」の欄に記載しきれない場合には、「審査請求の理由」欄に「別紙参照」と記し、別紙を添付して詳細に主張してください。
 
時系列に沿って記載し、事実関係を裏付ける書面等、証拠があれば、その都度、文中に、(添付資料1)というように記載して明らかにするのが分かりやすい方法です。

 また、異議決定を経ている場合で、異議決定が、原処分の全部または一部を維持するものである場合には、その理由が記載されていますので、その理由中の事実関係に誤りがある箇所については、特に意識して行う必要があります。
 なお、添付資料として提出する書面は原本ではなく、写しで構いませんが、原本はいつでも開示できるように大事に保管しておいてください。 

 

5 通達・法令解釈の検討

 通達、法令解釈の検討に当たっては、文献のみならず、同種の事案に関する裁決や判例等をリサーチすることも重要となります。国税不服審判所のホームページでは、裁決要旨の検索ができるようになっていますので、参考にしてください。

    

  事実関係を裏付ける書面等のみならず、通達・法令解釈につき、有利な文献、裁決、裁判例があれば、それらも添付資料として提出することをお勧めします。

     

6 審査手続

 国税不服審判所では、異議申立での審理と異なり、審査請求書に対して原処分庁から答弁書が提出され、それに対する反論書を提出することができます。

 更に、その反論書に対し、原処分庁から意見書(反論書に対する再反論書)が提出される場合もあり、それに対する再々反論を行うことも可能です(場合によっては、担当審判官から面談を求められ、質問に対する回答を書面で行うように求められることもあります)。なお、担当審判官により、反論書等に関する提出期限が定められた場合には、その期限までに提出する必要があります。

 このように、国税不服審判所での審判では、原処分庁との間で書面のやりとりが複数回にわたって行われる場合もありますので、はじめの段階で、主張のすべてを審査請求書に記載し、すべての証拠を添付する必要はないのですが、それでも、争点を明確化し、早期に解決を図るためには、できるだけ早い段階で主張をまとめ、証拠を提示する必要があります。

7 閲覧請求

 審査請求においても異議申立での審理と同様、審判官が職権で独自に調査し証拠書類等を収集することができます。
 改正後の国税通則法97条の3第1項では、担当審判官がその権限の行使によって収集した書類等の物件につき、閲覧謄写が可能です。しかしながら、担当審判官が職権によって質問をする場合に作成する質問調書については、閲覧謄写は認められておりません。

 

「税務調査・修正申告・更正処分への対応」目次

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審査請求書の注意点     相続税に関する税務調査Q&A
 


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